神奈川県某所
人の往来が少なくなってきた夜11時
この少しだけ栄えた繁華街が彼の狩場
プロしょぼ腕ナンパ師だいこんの活動場所である
日本有数のプロしょぼ腕
彼のナンパ活動は決して世間に知られるものではない(しょぼいから)
我々はとある日、彼の1日を追った
*
ぼくらは位置について
横一列でスタートきった
つまづいてるアイツ(イケメン)のこと見て
ほんとうはシメシメと思っていた
*
夜11時、ローカル駅の改札付近を無駄に颯爽と歩いていく彼の姿を発見した
チノパンにライダースジャケットを羽織った彼がナンパ師だと気がつく人はいない
この日はまずローカル駅の付近を1周りするそうだ
Q いつもこんな遅い時間からスタートするんですか
だいこん「そうですね。このローカル駅だと家に自転車で帰れるので遅い時間に出撃することは多いですね。それと人が多すぎないので、声をかけやすいっていうのが主な理由ですね。」
Q 時間が遅いと人が少なく声をかける対象が減るのでは
だいこん「それはごもっともですね。人が多くないことで自分らしく声かけできるのと、声かけの対象数についてはトレードオフの関係ですね。いろいろ試してはみたんですが、今は自分らしく声かけできることを優先しています。」
だいこん「俺がしょぼ腕としてやれてるのは、こういったポリシーが理由ですね。自分のスタイルを確立したいっていう想いがあるんかなと。」
そう語るだいこんの目に迷いはない。ように見えたが、かなり迷っているようだ。
11時10分
だいこんが突如足を止めた。
Q どうしたんですか?
だいこん「ちょっと黙っててください。」
我々の間に緊張が走る
とある女性とすれ違った後、呼吸を整えている姿が印象的だった。
だいこん「いきますよっ。」
小走りになり、すれ違った女性を少しだけ追い越し、斜め前から声をかける。
だいこん「あのっ!」
だいこんと女性が会話をしている。
面識のないはずの男女が少しだけ笑いながら話している
交渉は上手くいかなかったらしく最後に女性に一言だけ言って彼が戻ってきた
Q どうだったんですか?
だいこん「いやー、全然だめだったよ。来月結婚するんだって。婚約者がいなければ友達からなら良かったんですけど・・・って言ってくれたのが少しだけ救いかな。」
Q 悔しいですか?
だいこん「悔しい気持ちもあるけど、これくらいは慣れたかな。中途半端に連れ出したり、身体を重ねた後に関係が終わるより痛みは少ないし。」
一通り話し終えたところで、再度だいこんは歩きだした。
少し背の高いショートカットの女性とすれ違ったところで、だいこんが声をかける。
だいこん「あのっ!」
だいこんと女性が話している
女性は迷っているようだが、どうやら飲みに行くことになったようだ
連れ出しが確定した
Q やりましたね?
だいこん「そうね。今日は2声かけ目で連れ出しだから、かなりラッキーだね。もちろんゴールするまで気は抜けないけど。」
そう語っただいこんは、行きつけの連れ出し場所にしている居酒屋へ向かった。
入口で客引きしていた若い店員の「いつもありがとうございます!」という声を聞いて複雑そうな顔をしていた。
Q 店員さんの挨拶で顔色が変わりましたね?
だいこん「まぁ、ごまかせる範囲だけどね。毎回違う女の子を連れて行ってるんだからさ。もう少しだけ察してほしいかな。笑」
しょぼ腕ナンパ師がしょぼ接客店員に不満を漏らしているのが社会の縮図を感じさせた
だいこんと女性はお互いにビールを注文して会話が始まった
どうやら女性は年上で図書館で司書をしているそうだ
楽しそうに二人の会話が続いていく
相互に質問し合ったりと雰囲気は良さそうだ
他の席で飲んでいる男女と変わらないように見えた
だが、その時
だいこんの顔が少し曇った
そのままトイレに向かうようだ
我々も同行した
Q どうしたんですか?
だいこん「あぁ、彼女さ歴史が好きなんだって。しかもかなりの詳しいレベルでね。
それで、どうせ戦国武将とか三国志だろうと思っていたら、一番好きなのは「大化の改新」みたいで。ざっくりとは分かるけど、相手のペースに持ち込まれたら分が悪いなぁ。」
Q ここからどうするつもりですか?
だいこん「いつもやるのは話題を変えて、必要であればイジりを交えるけど。。。あのさ、彼女けっこう酔ってない?なんかさ、いける気がするんだよね。」
だいこんの目は輝いている。
大化の改新から現実逃避をしているように見えた
だいこん「善は急げって言うし、退店してハンドテスト後にギラつく作戦でいくよ。もう1時間以上飲んでるしね。手つなぎなくして股つなぎないってね。」
席に戻っただいこんが彼女に店を出ようと告げた
お金を払おうとする女性に、いいよいいよ俺が出すよ、と言いながらもお札を掴んでいる姿が面白かった
店を出て、女性と二人横並びで歩き出す
だいこんがつないだ手を女性は一瞬やめようとしたが、そのままつないでいた
少しずつ暗い道に入っていく
だいこんが女性に顔を近づけて話しかけている
女性は「しないよ」と言っているようだ
だいこんと彼女の顔が近づき、二人はキスをした
舌を絡ませているのと、だいこんの股間と期待が膨らんでいるのが見て取れた
しかし、彼女が距離をとろうとする
司書子「だめなの。だいこん君のこと、そういう風に見えないの。やっぱり価値観が合うって大事じゃない?そこを納得できないままだから、、できないよ。」
だいこん「でも、俺は司書子とキスできてドキドキしたし嬉しかった。もっと一緒にいて知りたいって思うよ。価値観の合う合わないはこれから分かってくるんじゃないかな?」
司書子「ううん。私ねこれまで付き合った人はみんな、趣味(歴史)の話が分かる人だった。だいこん君が悪い訳じゃないの、私が変わってるだけ。」
だいこん「それは価値観の一部だけの話じゃないかな?それ以外の相性も大事だと思うん。」
いたたまれない雰囲気が流れる
だいこんが変に動揺していないのは、グダや拒絶に慣れているからだろうか
膨らんだ股間と期待に厳しい仕打ち
司書子「やっぱりごめんなさい。今日は声をかけてくれてありがとう。私こっちだから帰るね。」
だいこん「分かった。こちらこそありがとう。もう遅いから気を付けて帰ってね。」
連絡先も交換しないまま、別れる男女
彼女と別れた後、一度も振り向きもしない
Q よかったんですか?
だいこん「いいわけないけど、ギラの前にクリアできてない部分が明確だったね。ああやって言っていたけど、本当は価値観以外にもNGがあったんだと思う。」
Q あまり粘らないんですね?
だいこん「場合によるけど、今日はガチのグダだった。DKの後にガチグダってよくあるんですよね。笑」
そういって帰路につく彼に質問をした
Q 今後もしょぼ腕としてやっていくのか?
だいこん「もちろん。自分はゲットを量産できないタイプだと割り切っている。それは自身のスト値もあるし、性格的な部分もあるしね。でも、自分が本当に好きになれる女性を見つけて関係を進めたいって想いは変わらないから、これからも頑張るよ。だって、これまで好きな女性とは付き合えたことないから、自分を変えていきたいね。」
ひとこと、つぶやいた言葉が耳に残った
「もっていないままで、もっている奴らに勝ちたい。」
プロしょぼ腕ナンパ師 だいこん
彼は明日もまたローカル駅に出撃する
*
今回は「大化の改新グダ」でした。笑
2018年からブログのタイトルを「僕は運命を証明しようと思う」に変えました。
運命トークを使って理想の女性を見つけます。
みなさんこれからもよろしくお願いします。