涙のちに笑顔
某ローカル駅
夜もかなり遅い時間
頭のおかしい女の子とのカフェアポが終わり、街をウロウロしていた。
そんな時、1人の女性にくぎ付けになる。
その女性は泣いていた。
ゆっくりフラフラと歩きながら、ときどき立ち止まって
涙を拭いてまた歩いて。
色白にクリっとした目が赤くなっている。
白基調の上着にネイビーのスカートがメチャクチャ似合っていて顔もすごくタイプ。
すぐに声かけをした、いつもの運命トークで。
でも、運命トーク自体は不発で女性は帰宅するためにタクシー乗り場を探していた。
初めて降りた駅だからタクシー乗り場が分からないという。
タクシー乗り場までの間に和もうと思い、案内する。
ただ、週末のタクシー乗り場は混んでいて30分待っても乗れるか分からない行列。
行列を利用して行列が解消するまで30分だけ飲みませんかと打診。
「じゃあ、、、一杯だけなら」
連れ出しの打診が通って速攻でいつもの居酒屋に向かう。
居酒屋に向かう途中に人妻だよって告白される。
残念だったけど、タイプすぎたから楽しく話して健全解散しようと思った。
居酒屋に着いて因縁の店員(笑)がいたのでロッテ涌井の一塁けん制ばりのスピードで店員をけん制する。
お互いにビールでキックオフ。
乾杯してから彼女はしきりにだいこんの職業を聞いてくる。「〇〇系」だよって教えると、彼女は同業だと言った。
へー、すごい偶然だねって言ったら具体的な勤務先を聞いてきた。
初めてのタイプ。美女が人の職業を根ほり葉ほり聞いてきて、勤務先まで教えろだなんて、普通じゃないなと思った。
美人局?と疑ったけど飲んでるだけだから潔白だしなぁと思い、そっちの勤務先も教えてくれるならいいよって条件だして、お互いの勤務先を教えあった。
だいこんの身元が確かだと信用してくれた彼女は駅で泣いていた理由を話してくれた。
彼女の勤務先は誰もが知っているところ。
知らない日本人なんていない巨大な組織。
その会社で上司から立場を利用された悪質で粘着質なセクハラを受けていて、心がもたなくなって今は休職しているという。
セクハラを受けた時、彼女は戦った。
社内内部のしかるべき部署に相談と報告をしたが、自分の告発は揉み消されて、今もセクハラをした上司はのうのうと働いていると言った。
とてもクリーンなイメージの会社でも内部は酷いものだと言った。
仕事を頑張っていたけど組織は自分を守ってくれなくて。
ああいう人(上司)はいずれ天罰みたいなものが下ると頭では思っていても、
自分の心と感情は納得してくれなくて、
孤独と理不尽さで心が先にまいってしまったと、泣きながら話してくれた。
今日は休職中の自分を心配してくれる会社の仲良い人達と飲んでいた帰りで、
家までの終電がなくなって電車で来れるところまできて、タクシーで帰ろうとしていたのだという。
職場の人と飲むとどうしても過去を思い出してしまい帰りに泣いてしまったと。
彼女が一通り話し終えた後に、思っていることを話した。
普段言わないような言葉で彼女に対して想っていることを言った。
あなたの勇気と正義感を尊敬していると伝えた。
辛かったし、頑張ったんだねと下心いっさい無しで伝えた。
彼女はまた泣いた。
泣き止んだあとは、たわいのない話や旦那さんの少し変わってるところの話を聞いて、二人で大笑いして。
居酒屋の中で一番修羅場感、悲壮感のあった二人なのに、最後は一番賑やかな二人になって、気が付いたら2時間以上一緒にいて。
旦那は出張に行ってるから朝まで飲むのは大丈夫だよって言ってくれたけど、
朝帰りさせるのは旦那さんに悪いので退店してタクシー乗り場まで向かった。
タクシーに乗る時に彼女が、だいこんの前にきて言った。
「今日は声をかけてくれてありがとう。」
「最悪の気分で降りた駅と街がね、だいこん君のおかげで大好きな場所になったよ。」
「だから本当にありがとう。今日は声をかけてくれて嬉しかった。」
美人の感情いっぱいの笑顔。とてつもなく可愛い笑顔。
ずるい、ずるすぎる。こんなん非モテに戻るやん。(ちなみに今も非モテ)
照れてしまって「お、おう。気をつけてか、かえってね」みたいに言って解散。
連絡先は交換しなかった。
人妻と未成年はプレイレンジにいれない。
性欲はスッキリしていないけど、すっきりした気分になって帰宅した。
まったく、これだからストというやつは。
*
次の日、ストで連れ出した保育士をいつもの居酒屋に連れて行き、
因縁の店員(笑)から「またっすかwww」みたいな視線をもらう。
その後、保育士を自宅で即。2018年初即達成!
まったくこれだから、ストというやつは。